学び舎は今も心に…

投稿日時:2010/05/15 4:27 PM
お知らせカテゴリー:総会・懇親会

学び舎は今も心に…

17回生 川村(坪井)修

山里を潤す水を尋ね行く
深山に落ちるひと雫の命

どんよりとした雲間の中を、八戸発8時1分のはやて6号は静かに滑り出した。新緑の中、どこも田植えが進み、辺り一面輝く水面の上に緑の若い苗が少し照れくさそうに揺れていた。この緑をやがて黄金の秋へと変えるのは、この苗を当たり前のように支えている豊かな水である。

ふと、この水はどこから来ているのだろうかという思いが浮かんだ。

さっきまで読んでいた浅見光彦の推理が消えた。そして、遠く人里離れた深い山を一人で歩いていた。誰もいないこんな山の中の渓谷。そこに落とされるひと雫の水滴。これがあの大きな川を作り、田を潤す命の水になるなんて誰が思うだろうか。そんな夢を見ながら故郷の利根川を越えた。

七年前、初めて母校大宮高校の同窓会に参加してから、毎年のようにこの利根川を渡っている。

 

そこには昔の仲間がいる。青春をともに生きた仲間たちがいる。そんな思いが毎年心に響いてくるからだ。

高等学校で国語を教え、母校の大切さを唱える私にしても、どんなに長くその学校にいても、そこは母校とは呼べない。たった三年間しかいなかった大宮高校だが、そこが唯一、自分の母校と呼べる所だ。

こんな当たり前のことが、この歳になってわかった。そんな思いで、今の私が住んでいる八戸のお酒を毎年担いでいく。喜んでくれる友の顔や手を握ってくれる先輩の姿があるからだ。いや、それ以上に、遠く離れた街に生きる自分の証を見てもらいたいのかもしれない。

今年も爽やかな気持ちで青森に戻って来られた。行く時はどんよりとした空だったが、帰りは満天の星が出迎えてくれた。

生きて行く道はそれぞれ別れても
たどり着く日は満天の星